【人材ビジネス交差点】夢と希望を持てる日本に/㈱ワイズ関西 専務取締役 栗本 正剛
2020年、五輪の東京開催が決定した。ぜひとも若者たちに夢を与え、国民が1つになれる起爆剤としたい。まさにアベノミクス第四の矢であり、金メダル的快挙である。
現在、完全失業率は徐々に改善し、今年7月には3.8%となった。雇用の改善は進んできてはいるが、正社員雇用は依然として厳しい状況にある。派遣の場合、抵触日の対応により直雇用になっても、いきなり正社員というケースはほとんどない。多くは、パートタイム社員や契約社員であり、「非正規から非正規へ」が実態である。
総務省が8月に発表した労働力調査によると、雇用者に占める非正規雇用の割合が、前年比1.7ポイント増の36.2%に達した。派遣労働者の割合はわずか2.2%。増加しているのはパート・アルバイトであり、実に24.9%を占めている。いずれにしても、3人に1人が非正規雇用というのは正常とは言えまい。パートや派遣社員などで正社員を望まない人も多いことに留意する必要はあるが、少なくとも正社員を希望する人が正社員になれる社会を実現すべきであろう。
しかし、企業や派遣会社に直雇用や無期雇用を強制するだけでは、問題の解決にはならない。バブル崩壊後の失われた20年、日本の競争力低下は目を覆うばかりである。アベノミクスの成長戦略により、強い日本を取り戻すことが雇用問題解決の一番の近道である。企業は継続的に優秀な人材が必要となれば、黙っていても正社員を採用する。
しかし今、若者たちは夢や希望を失いかけている。将来や人生設計を描けず、働く意欲が持てない人が世の中に大勢いる状況下で、派遣業界が雇用の受け皿になってきたのである。こうした若者たちを社会人として通用する立派な人材に育てることが、今後の派遣業界の信頼と発展につながるはずである。
そのためには、企業や派遣会社が無期雇用を促進できるように、様ざまな規制を緩和してもらいたい。そしてキャリアアップの措置を講ずることも必要だが、もっと大切なことは教育である。家庭、学校、社会、そして国として、教育の目的や理念を再構築することが重要である。日本の真の復活はそこから始まるのではないか。
筆者:㈱ワイズ関西 専務取締役 栗本 正剛