経営理念踏まえ人事評価を/波多野事務所 波多野 淳
人事制度設計で大切なことは何だろう。人事制度設計を行うに当たって思うことを紹介してみたい。
人事制度とは一般的に、評価、処遇、教育訓練の3つの柱から構成される。この中でも事業者からの問合せで多いのは、評価・処遇制度についてである。例えば「人数が多くなり昇給を考えるのが面倒」「現在の評価制度では全員を適正に評価できない」というものがある。前者の場合、社長自身がすべて決定している、社長が社員一人ひとりをみている時間が取れなくなっているなどであり、後者の場合は、社長自身が制度設計にあまり参加せずに完成してしまったものであり社長の意思(会社の意思)が入っていない、評価制度を作成したときから年月が経っており実態にそぐわない、などがある。
どちらにしてもスポット的な要因は分かりやすいが、全体を通じて問題点をみている事業者は少ない。人事制度設計は経営戦略の一環の人事戦略であるため、その根本から検討することが必要である。
では、その根本とは何であろうか。私は、経営理念であると考える。経営理念から紐を解き、会社がどのような人材を評価し、どのように処遇をしていくか、さらに会社が正しいと考える人材配置を行い、どのように教育研修を行っていくのか、そのように思いをはせる必要がある。順番を挙げると、①経営理念の見直し、②経営戦略の中の人事戦略を立て、③めざす人物像(もしくはめざしたい目標)にスポットを当てて評価方法を検討し、④評価実施後の処遇(適材適所の配置)を行い、⑤不足しているリソース、理想とする人物像へ近づけるための教育研修を施す、このような一連の流れで決定していくこととなる。問合せは、ここでいう③④の内容が大半を占めることとなる。これではスポット的な改善でしかない。
では、人事制度設計で大切なことは何だろう。①にある理念であり、この一連の計画である。一言でいうと「目標と想い」、これに尽きる。私も一人の経営者として思うことであるが、「人の役に立ち喜んでもらい、その喜びによって我われは幸せになる」。この構図を構築するための人事制度設計でありたいと願う。そのために私も目標と想いを大切に日々行動していく。
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