対話不足が労務問題招く/中島労務管理事務所 代表 中島 ひろみ
厚生労働省が6月に発表した平成26年度の総合労働相談件数は7年連続100万件超。民事上の個別労働紛争解決制度の利用状況は23万8806件で、そのうちパワーハラスメントに当たる「いじめ、嫌がらせ」が6万2191件(前年比5.1%増)で3年連続最多だった。
ここに、上司と社員の職場の人間関係に関する意識の差を示すデータがある。
以下は日本生産性本部が行った職場のコミュニケーションのアンケート調査結果(平成26年8月発表)の一部で、課長職と一般社員を対象としている。
①部下は良く相談に来る…課長83.0%。上司に良く相談する…社員59.2%。
②褒めることが人材育成につながる…課長98.1%。
③実際に褒めている…課長78.4%。上司は褒める方だと思っている…社員48.6%。
④叱ることが育成につながる…課長98.1%。叱られると意欲を失う…社員60%。
これらの結果は、上司部下間の対話の認識に大きな差があるということを示している。上司が良かれと思って部下にかけた言葉が部下を傷付けている場合があるということだ。
また、同じ調査で部下の指導に自信がないと答えた課長は56.4%に上っている。上司が人事労務管理の知識を持ち、実践することなしに、部下を育成することは難しいだろう。
組織のコミュニケーション不足による緊張した関係を修復し、上司との間や社員間のチームワークを高めるには信頼関係を築くことが大切である。残業代未払い、メンタル不調、ハラスメント問題などの職場トラブルは対話不足から起こることが多いのである。
職場の対話を増やすには新しい人と組ませたり、会議のやり方を変えたり、課題の出し方や机のレイアウトを変えたりと、日常の仕事のなかでコミュニケーションが増える工夫を労使が一緒になって考えられると良い。社内は今より明るくなり、仕事の質も高まり、成果も上げられるのではないだろうか。当事務所では、いつもその点を大事にしてサポートを心がけている。
社会保険労務士は、労使の信頼関係が構築できるような労働環境整備のためのお手伝いをしている。
中島労務管理事務所 代表 中島 ひろみ【東京】
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