固定観念を取り除き成長/江原&パートナーズ社労士事務所 江原 充志
先日、雑誌の取材を受けていたときに、「事務所成長のきっかけはなんだったのですか」と聞かれた。即答に困ったが、一番の要因は、「全国には大きな事務所がたくさんある」ということに気付いたことである。
開業して15年。職員数も20人を超え、社労士なのに自社の労務管理に悩まされる日々を送っている。しかし、開業から長く1人事務所だった。
当時は、事務所経営に関する情報が本当に少なく、カリスマ先生の開業塾や県会の先輩などに業界の実情を聞くことくらい。市販の本もあったが、資格学校などが出版しているので、社労士の世界がいかにすばらしいかということが必要以上に強調されていた。それなりに希望は持てたが、現実とは少し違うことに戸惑いも覚えた。
年商1000万円が社労士の成功モデルといわれたころだ。疑いもせずひたすら頑張った。幸い助成金ブームも相まって大きく売上げを伸ばすことができ、社労士としても経営者としても少し自信をつけた。そんな矢先、全国の猛者が集まる勉強会に参加した。もっと大きな事務所がザラにある…、そのすごさに目を見張った。同時に、自分のなかのリミッターというか固定観念が外れたような気がした。どこかに「社労士ってこんなものだ」という思い込みがあったのだ。しかし、どうやらそんな固定観念にとらわれる必要はないらしい。経営の舵取りが変わったのはそのころだったと記憶している。
最近開業された若い先生方は優秀だ。伸び伸びと経営し、我われの世代が超えられないと思っていたハードルを簡単に飛び越えていく。彼らには固定観念がないのだ。事務所を大きくしたいなら根拠のない固定観念にとらわれず一気に駆け上がったほうが良い。
長くやっているということは良いことばかりではない。自分自身に壁を作り、適度なところで満足感を覚えてしまう。規模拡大が良いことだというつもりは毛頭ない。しかし、およそ人間というものは限界を作りたがる。居心地が良いからだ。一時読み漁った成功法則の本には、どれも同じことが書いてあった。「成功したいなら自分の限界を破りなさい」と。支えてくれる周囲の人たちに感謝しつつ、できるところまで頑張ってみたい。
社会保険労務士法人 HR Trust 江原 充志【鹿児島】
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※タイトルの社名は連載時のものです。