病気で苦しむ人に希望を/社会保険労務士あじさい法務事務所 高橋 鋭人
「精巣腫瘍の疑いがありますね。精巣腫瘍はほとんど悪性なんですよねえ」。3年前の梅雨が始まる少し前だった。仕事が一段落したため、やっと検査に行けたときに先生は険しい顔でいった。
それからは手術・入院・検査と、人生初体験のことがあっという間に進んでいった。
病院の天井を眺めながら、「このまま働けなくなってしまったらどうすれば良いのだろう」と何度も不安な気持ちになった。
幸いなことに、今では転移もなく定期検査があるだけで仕事も普通にできている。
病気になったときに、「まだ社会保険労務士として何もやりたいことができていない!」と痛感し、今後は病気で苦しみ、不安を抱えている人のために仕事をしたいという想いから「西湘・小田原障害年金相談センター」を立ち上げた。不幸にも病気や怪我になったとしても、決して終わりではないのである。今の自分の姿を入院時の私へ見せてやりたい。
障害年金は、保険料をきちんと納めていれば当然に受給できる国民の権利である。
しかし、初診日や受診状況を本人が証明しなくてはならず、カルテが残っていないことや手続きの煩雑さから申請を断念することも少なくない。
そもそも障害年金の制度自体があまり知られていないといった状況があるため、まずは情報を伝える、相談しやすい環境を用意するということから始めている。
サポートをしているなかで、医療機関から「そんなにお金がほしいのか」などと、心ない発言をされることもある。しかし、病気で気力を失っている方が、障害年金が受給できるかもしれないと分かると希望を感じ、自ら行動を起こしてくれることがある。その気持ちを大事にするためにも、専門家である社会保険労務士が諦めてはいけないのである。
社会保険労務士として助成金や年金等の「お金を生み出す」能力を、依頼者のため地域のために最大限に活用し、社会の発展に貢献していきたい。
障害年金を受給している方が、いつの日か社会復帰する姿を見たい。それが私の希望であり生きる力となっている。
行政書士・社会保険労務士あじさい法務事務所 高橋 鋭人【神奈川】
【公式webサイトはこちら】
http://www.ajisai-home.com
※タイトルの社名は連載時のものです。