マタニティハラスメント/弁護士 森田 梨沙

2016.01.12 【弁護士による労務エッセー】
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 そうすると、少なくとも現在の労働局の考え方を基にする限り、妊娠、出産等を理由として退職勧奨が行われた場合でも、それ以外の理由による退職勧奨の場合と同じ基準で違法性が判断されることになるので、いわゆる退職強要として違法と判断されるレベルに達していなければ、慰謝料が発生したり、行政指導が行われたりすることはない、ということになります。

 もっとも、だからといって妊娠、出産等を理由に安易に退職勧奨を行うことが推奨されるわけではありませんし、慎重な対応が求められることは言うまでもありません。これはあくまで私見ですが、例えば退職勧奨に際し、「妊婦がいると他の社員に迷惑がかかる。」などといった表現を用いたりすれば、退職合意が本人の自由意思に基づいていたか否かの判断に影響を与えかねないのではないかと考えます。

 なお、均等法第6条第4号では、性別を理由として「退職の勧奨」をすることは禁じられており、これを受けた均等指針」第2の10(2)ロ①には「女性労働者に対してのみ、子を有していることを理由として、退職の勧奨をすること」は禁止される、とあり、こちらは「退職の勧奨」自体を禁止していますので、注意が必要です。

 平成27年9月、均等法第30条に基づき、マタハラをした事業者が実名公表されたことは、ご記憶に新しいことと思います。

 現代社会において、実名公表によるレピュテーションリスクは計り知れません。

 そもそも法違反をしないようにすることは当然ですが、もし、厚生労働大臣から報告を求められたり、助言や指導又は勧告がなされた場合は、誠実に対応し、決して放置したりすることのないようにしましょう。

 

morita1弁護士 森田 梨沙
<略歴>
昭和52年生まれ
平成20年9月3日 弁護士法人岡林法律事務所入所
平成26年11月30日 同所を退職
平成26年12月1日 共進総合法律事務所に共同経営者として参画
中小企業庁経営革新等支援機関
平成26年度東京商工会議所法律相談担当
東京商工会議所渋谷支部会員
全国倒産処理弁護士ネットワーク会員

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