【主張】企業は脱ブラック化急げ
主要企業の一部で脱ブラック化が加速している。人手不足、労働人口の減少が避けられない状況にあって、有能な人材を獲得し持続可能な経営を確立するためには、まずコンプライアンスを徹底したうえで、ワーク・ライフ・バランスを強化する必要がある。
模範的企業とみられるのが、㈱レオパレス21(東京都中野区、深山英世代表取締役社長)である(本紙9月11日号3面既報)。従来からマイナスイメージが拭えなかった不動産業界にあって、これを本気で改善しようと深山社長の号令一下、様ざまな働き方改革に着手した。ほぼ3年が経過した現在、職場環境は大幅に向上したばかりか、企業業績も伸びつつある。
近年、中小零細ばかりでなく、有名大手までもブラック企業のレッテルを貼られるケースが少なくない。各企業は同社の好事例を参考とし、トップが率先して取り組めば数年で成果が現れ、職場風土を刷新し得ると考えるべきであろう。
同社の心を動かしたのもブラック企業の汚名を着せられかねない恐れに対する危機意識だった。最低労働基準をクリアしない職場を放置し続け、揚げ句の果てに過労死や過労自殺を発生させてしまう大手企業が社会問題化し始めたころである。離職率が必ずしも良好とはいえない不動産業界にあって、仮に過労死などが明るみに出て、ブラック企業の烙印を押されてしまえば、経営が危うくなる。
同社では2014年に、「ワークライフバランス推進室」を設置し時間外労働の削減、リフレッシュ休暇、時間単位年休、テレワーク導入など、次々に職場環境改善に取り組んだ。最も効果的だったのは、業務部門ごとに問題点を洗い出し、達成目標を掲げたこと。定期的に勤務実態を調査し、目標達成状況を確認して回った。
定期調査では、長時間労働の実態などについて社員からヒアリングする徹底ぶり。サービス残業防止のため、夜間の抜き打ち調査まで実施しているという。同社の本気度が分かるエピソードである。どの企業も脱ブラック化の波に乗り遅れないでほしい。