【ひのみやぐら】建設業で広がる働き方改革
「働き方改革で見直そう みんなが輝く 健康職場」――。10月1日から始まる第68回全国労働衛生週間のスローガンだ。一億総活躍社会実現のため昨年より提唱されている「働き方改革」だが、さまざまな業種で働く人に浸透させようと広くアピールした格好といえる。
社会的にも「働き方改革」は強く意識され、長時間労働の是正に向けた動きが騒がしくなってきたが、建設業も例外ではない。「建設業の働き方改革に関する関係省庁連絡会議」は受注者・発注者双方に対し、週休2日の確保などを考慮すべきとした「建設工事における適正な工期設定等のためのガイドライン(案)」を示した(9月15日号ニュース欄既報)。厚生労働省は、時間外労働の上限設定に向けた環境整備を後押しするため、助成金を拡充する(ニュース欄参照)。(一社)日本建設業連合会でも、段階的な長時間労働の削減を図ろうと、自主規制を試行する方針だ。
中央での取組みが進むとともに、地方でも「働き方改革」の動きが活発化している。岩手労働局では、震災復旧・復興工事現場での過重労働解消を狙いに「いわてリアス宣言」を採択した。同宣言は、工事発注者は施工業者の事務負担が軽減するような契約に努め、施工業者はトップの意思表示に基づき定時退社を促すなど取組みを推進するとしている。昨年、大船渡労働基準監督署で時間外労働事案の書類送検があった。同労基署では、過重労働撲滅のため、「気仙宣言」を採択。「いわてリアス宣言」は、岩手県沿岸地域に運動を拡大したものだ。
群馬労働局管内では、八ッ場ダム建設工事が完成まで3年を切り、今後最盛期を迎えるという。このため、工事業者と八ッ場ダム建設工事安全協議会に対して、労働時間管理の周知と徹底を要請した。全国的にも注目された大規模工事で、同労働局では模範となるよう求めている。
今号、特集Ⅱでは実際に「働き方改革」を進めている建設現場に注目した。時間外労働削減や有給休暇を取りやすい職場風土づくりはどう行われたのか――。こちらの頁もぜひ、ご一読いただきたい。