【主張】対立軸とすべきではない

2017.10.09 【主張】
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 厚生労働省は、働き方改革一括法案を明らかにした(本紙9月25日号1面参照)。高度プロフェッショナル制度の創設と時間外労働の上限規制強化を一本化している。それ以外にも多くの重要改正事項が並んでおり、働き方改革を最優先課題としている政府として、有言実行の姿勢を示したといえる。

 報道によると、野党側は一括法案に真っ向から反対の意思表明をした。総選挙後、カギを握る新党の動静はもとよりはっきりしないが、今後の国会では一括法案が「対立法案」と位置付けられる可能性が高い。多くの労働者に多大な影響を与える働き方改革を政争の具にすることだけは絶対に許されない。

 一括法案は、結果的に労使双方の意見を融合したバランスのとれた内容となった。使用者側が推進する高度プロフェッショナル制度などに対し、労働者側にとっても時間外労働規制や年次有給休暇の使用者への付与義務化、中小企業に対する時間外割増率の引上げなど評価すべき改正内容がそろった。

 しかし、野党側は早くも一括法案に反対を表明、高度プロフェッショナル制度を再び「残業代ゼロ制度」と表現し、切り離しを訴えている。

 高度プロフェッショナル制度は、少なくても年収1000万円以上で高度専門知識を必要とする特定の業務に従事する者が対象であり、適用者は労働者全体の数パーセントを下回る可能性がある。適用を同意した労働者については、たしかに労基法上の労働時間規制が外されるが、これをもって「残業代ゼロ制度」と大々的に表現すると、多くの国民に誤解を与えかねない。ワーク・ライフ・バランスにも配慮した制度とみることができ、決して全面的に否定すべきものではない。

 働き方改革が主要課題となる次期国会において、対立をアピールするために一括法案を利用するのは、到底納得がいくものではない。初めから反対するのではなく、建設的な議論を交わし、妥協点を探るべきである。改革の遅れによるしわ寄せが、結果的にどこに向かうことになるか考えてほしい。

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平成29年10月9日第3131号2面 掲載
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