【今週の労務書】『派遣新時代 ~派遣が変わる、派遣が変える~』
2015.08.03
【書評】
業界からの率直な提言
自らも社長として派遣、請負の事業に携わる著者が、審議中の改正法案を解説しつつ、派遣労働への思いを綴っている。
将来の担い手になる学生まで読者に想定し、流布されてきたマイナスイメージを覆す事実を指摘しつつ、複雑で分かりにくい派遣の概念とこれまでの改正事情を簡潔にまとめている。
改正法案に対しては、業務単位を改めることで期間制限が分かりやすくなるとしたうえ、雇用安定措置の義務化について「初めて正規雇用(直接雇用)への筋道が示された」と歓迎。
非正規対策として国がやるべきは、本人の能力向上ではなく、正社員との間の険しい壁を低くし、穴を空けることだとも語っている。
派遣という働き方に夢を託す事業者からの率直な提言として、真摯に耳を傾けたい。
(出井智将著、幻冬舎刊、TEL:03-5411-6222、800円+税)
平成27年8月3日第3027号16面 掲載