後発社労士こそ強みを/社会保険労務士法人プレミアパートナーズ 代表社員 安 紗弥香
コンビニ社労士――これが私の強みである。初めてお会いする方と名刺を交換するたびに「コンビニ? 便利な社労士ってことですか?」と聞かれる。確かにそれもあるのかもしれない。だが、私は「普通の社労士」ではない。なぜなら、デスクワークは苦手、書類を書くと間違える、社労士事務所勤務も未経験。いわゆる社労士としてはダメダメなのだ。今日もスタッフの皆に生かしてもらっている。
それでは、コンビニ社労士の本当の意味とは何なのか。それは、「コンビニ業界特化」である、ということだ。私の前職は大手コンビニエンスストアチェーン本部の加盟店店長研修トレーナー。研修項目には接客対応やスタッフ育成、労働法などがあり、加盟店店長には座学と実店舗で2週間、店舗運営と経営のイロハを学び、実践して頂く。2週間後に目をキラキラさせて「頑張ります!」と研修店舗を巣立っていく店長を送り出しながら、また、帰宅途中に寄るコンビニの店長が疲れた顔をしているのを横目でみながら、彼らにもっと幸せになってもらいたくなった。
つまりは外部から多角的に支援したくなって、私は2013年に勤めていた会社を飛び出した。
独立するに当たり、私には「社会保険労務士」は無理だと悟った。先述のような不適格性もあるが、それ以上に、私は「後発」なのだ。すでに多くの先輩が社労士として成功をしている中に、同じスタンスで飛び込めるかといったら、答えは紛れもなくノーである。であれば、「自分だけの強み」を打ち出そうと、自身の経験をこれでもか、と棚卸しした。
「私は、誰に対して、何ができるか」。この自問自答を繰り返し、毎日ブログを書きながら整理した結果、「全国のコンビニを『人』の力で元気にしたい!」という結論に行き着いた。その手段が採用・労務管理支援であり、店長の育成であり、店舗業務の改善支援である、と。
これを周囲に伝え続けていると、コンビニエンスストア関連の仕事が増えた。社労士業務はもちろん、講演や執筆などのご依頼も継続的に頂くようになった。時にはオーナーが別のオーナーを紹介してくださることもある。本当に嬉しいことだ。まだまだ荒削りで失敗もあるが、とにかくかかわる方には幸せでいてほしい、その想いだけで気が付けば4年が経過していた。「私は、誰に、何ができるか」の問いをこれからも欠かさない。これが私の社労士像である。
社会保険労務士法人プレミアパートナーズ 代表社員 安 紗弥香【東京】
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