労災かくし 契約打ち切り恐れ有期契約労働者が要請受諾 藤沢労基署・送検
2017.10.30
【送検記事】
神奈川・藤沢労働基準監督署は、少なくとも休業期間91日の労働災害が発生したにもかかわらず労働者死傷病報告書を遅滞なく提出しなかったとして、輸送用機械製造業者と同社物流管理課長を労働安全衛生法第100条(報告等)違反の容疑で横浜地検に書類送検した。平成29年2月、同社で勤務していた有期契約労働者が被災する労災が発生している。
被災した労働者は、幅80cm×高さ40cm×奥行き50cmの4段積みのカゴの最下段から部品を取り出そうとした際に右腕骨折、左足打撲の怪我を負った。「本来はフォークリフトで上3段のカゴを動かして部品を取るべきだったが、被災者はカゴの側面の扉を開けて取り出したため、積まれたカゴがバランスを崩した」(同労基署)という。
同社は27年に4件の休業4日以上の労災を起こしたことにより、28年度は安全管理特別指導事業場に指定されていた。労災発生時点までゼロ災を達成していたことから、同課長は自分の課で事故を起こしたくなかったと考え、被災者へ自宅で怪我したことにしてほしいと要請。被災者も自分が原因で労災を起こしたことに加え、「有期契約で働いているため、断ると更新されないのではないか」と思い、要請を受諾していた。
その後、現場内に労災の情報が広がり本部が事態を把握。6月になって届出を出している。
被災者への保障は当初、労災保険ではなく健康保険で対処していた。
【平成29年10月13日送検】