【ひのみやぐら】ネーミングは大切
不安全行動総選挙――。特集Ⅰで取り上げる安全活動の名称だ。お分かりのとおり、人気アイドルグループAKB48の「選抜総選挙」をなぞったもの。得票の多い項目に的を絞って、効率的に不安全行動をつぶしていく取組みだ。少しでも多くの作業者に関心を持ってもらおうと、気を惹くネーミングにしたという。活動を通じて一人ひとりの意識が変わりつつあるそうだ。
作業者にとっては、まず仕事を優先とする意識のほうが強い。昔は「ケガぐらいしないと一人前とはいえない」とする考えが現場を覆っていたのは、ご承知のことと思う。現在でも、その雰囲気が残っていないとはいい切れない。「安全に気をつけて作業しよう」「安全帯を着けよう」などと注意しようものなら、嫌な顔をされた人も少なくないはずだ。どうやって安全に意識を持ってもらうかを考えることは、安全担当者の永遠のテーマかもしれない。
一方、「産業カウンセリングの現場から」にも同じようなことが書かれている。メンタルヘルスやカウンセリングという言葉は、確かに初めて耳にする人にとっては、精神疾患やうつ病を連想させ〝暗い〟イメージがある。「自分には関係ない」「できれば関わりたくない」という考えになりやすい。
そこで執筆者の坂部さんは、新入社員のフォロー策について、1年目のフレッシュマンが再出発するプログラムなのでFRP(Freshman R-Start Program)とした。名称を変更した結果、「分かりやすい」「頭が整理された」と好評だったそうだ。
内容や趣旨があまりにもかけ離れていては問題だが、ネーミングは大切だ。安全衛生活動に興味をわき立たせる名称をつけることは、担当者の腕の見せどころだろう。