【ひのみやぐら】熱中症対策は事業者の責任

2015.06.15 【ひのみやぐら】
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 すでに30℃を超える日が続いている。職場での熱中症対策も本腰を入れなければならない。中災防では5月22日、「熱中症予防対策シンポジウム」を開催し、事業場に警戒を怠らないよう要請した。

 シンポでは、産業医科大学の堀江正知教授の言葉が印象に残った。「安衛則617条では、『事業者は、多量の発汗を伴う作業場においては、労働者に与えるために、塩及び飲料水を備えなければならない』とあることから、塩分や水分は労働者に持ってこさせるのではなく、事業場で用意しておくこと」と指示。「事業者は」「備えなければならない」と主語と述語を強調し、事業者の責任で対策を行うことを明確に指摘した。

 実際に安衛則617条(安衛法22条2号)違反により、送致された例もある。兵庫・尼崎労働基準監督署は平成25年10月1日、警備会社と同社会長を安衛法違反容疑で神戸地検に書類送検している(2013年12月1日号既報、読者専用サイトで検索可能)。工事現場で平成25年6月13日、3人の警備員が交通誘導を行っていたが、午後3時ごろ1人の調子が悪くなり、同僚が日陰に移動させた。その後、側溝に倒れているのが見つかり、クーラーの効いた社有車で休ませた。それでも、容体が悪化したので救急車を呼んだものの、搬送先の病院で死亡した。

 当日の気温は34.4℃。事業場に塩分や飲料水を備えていないだけでなく、労働者を休ませている間も、摂取させていなかった。当時の記事によると、会社側は「7月から現場に備える予定だった」としている。災害が起きたのは6月13日。油断していたのかもしれないが、死亡者が出ていては許されるものではない。対策を怠れば、責任を問われることを肝に銘じたい。

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平成27年6月15日第2236号 掲載
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