【安全衛生・お薦めの一冊】『人生でほんとうに大切なこと がん専門の精神科医・清水研と患者たちの対話』
2017.12.03
【書評】
心をケアする精神腫瘍医
働き方改革では、治療と仕事の両立支援が求められているところだが、実際にはがん宣告を受けると多くの人は混乱をする。そのような現状のなか、がん患者の心のケアを行う精神腫瘍医の存在が注目されつつある。
本書は、国立がん研究センターの清水研医師と7人の患者を取材し、対話の内容をまとめたもの。その体験者の一人、56歳で肺がんを発症した千賀泰幸さんが精神腫瘍科を社会に知ってほしいという切実な願いから出版することとなった。IT関連企業で働く3人の父親である千賀さんは、仕事で全国を飛び回るなか、突然のがん宣告を受けた。2カ月の入院中、家族を守れなくなる無力感を嘆き、泣き続けていたという。そんなとき主治医から清水医師を紹介され、カウンセリングを重ね職場に復帰することができたそうだ。
がん治療の最前線に迫るドキュメント。
(稲垣麻由美著、KADOKAWA刊、TEL:0570-002-3011、四六判、197ページ、1400円+税)
平成29年12月1日第2295号 掲載