メリット多い電子申請/あべの労務代理事務所 代表 友田 良一
行政機関への手続きを電子申請で行う際は、使用者(会社)と社労士の両者の電子署名および電子証明書が必要である。
ただし、手続きによっては、「社労士が使用者の職務を代行する契約を結んでいることを証明する書面」があれば、使用者のものは必要ない。
労働保険・社会保険については、後者の「簡略された電子申請」が大部分で認められていたが、36協定といった労働基準法の諸手続きに関しても、この12月に門戸が開かれる。詳細はまだ明らかになっていないが、個人的には今回の英断を大いに歓迎している。
電子申請への取組みには、私自身は何の躊躇もなかった。行政機関へ足を運ぶ手間がなくなり、送受信記録や公文書が手元に残るなど、メリットがとても多い。
デメリットを挙げるとすれば、使用するパソコンのセキュリティーとデータのバックアップに関して、細心の注意が必要なことくらいであろう。
とはいえ、取り組み始めたころは、なかなか前に進まなかったものだ。間違いなく入力したつもりが、チェックをすればエラーの山。便利なのか融通が利かないのか、文句をいいながら格闘することかれこれ2時間、なんてこともザラだった。
ただ、労務管理ソフトを導入してからは、楽になった。諸データを正確に入力しておけば、あとはルーチン作業である。なおかつそのままデータを引き継いで、給与計算等にも活用できる。
とくにありがたいと思っているのが、「雇用保険被保険者離職票2」の作成。一度便利さを知ってしまえば、手書きには戻れない。スマホ依存症ではないが、労務管理ソフト依存症にかかっているかのような毎日だ。
先日、社労士の仕事の大部分が、AIに取って代わられるのではないかといった報道があった。その危惧も分からなくはないが、個人的には楽観視している。
日常起こっている労働トラブルは数多く、多岐にわたり、根が深い。社労士の専門家としての力量が問われる局面は、まだまだたくさんある。かくいう私も、いまだに電子申請事務センターの職員と、電話でやりとりする場合が多い。つまり労働はあくまで人が主役であり、電子申請は業務形態が進化しただけのことであることを忘れてはならないと思う。そして今日も、画面とにらめっこの一日である。
あべの労務代理事務所 代表 友田 良一【大阪】
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