【見逃していませんか?この本】街の会話の”盗み聞き”はこんなに楽しい/能町みね子「『お話はよく伺っております」
2017.12.21
【書評】
女性誌『Soup.』で2007年から2013年まで連載していたものを文庫本化した本書は、電車のなかや喫茶店などで聞こえてくる会話を記し、時にそれに端を発した妄想などをまとめたもの。
たとえば電車内だと、「存在とは? 神とは? 死とは?」を無邪気に母親に尋ねる小学校1年生くらいの男児と、それに答えようとする母親の様子や、30歳くらいの男性サラリーマン2人がしていたゴルゴ13に関する断片的な会話からそのトーク全体を推測する――そんな話題を収録。
変わり種では、街に貼られたポスターに載っている声なども収めている。
どれもこれも日常で出くわしそうな光景だが、それを能町氏の視点・観察眼で切り取って文章にすると、こうも面白くなるのかと感嘆せずにはいられない。観光地・景勝地ではないマイナーな地域を散策し、その街の妙味をまとめた「『能町みね子のときめきデートスポット』略して、能スポ」(関連記事)など、日常を楽しむことに秀でた筆者ならではの一冊といえるのではないだろうか。
街の雑踏や車中の会話に耳を傾けたら、つまらない通勤・通学も少しは楽しくなるかもしれない。
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のうまち みねこ、文春文庫・788円/漫画家、エッセイスト、好角家。『オカマだけどOLやってます』『ときめかない日記』『お家賃ですけど』など。週刊文春の『言葉尻とらえ隊』をはじめ雑誌での連載多数。テレビ、ラジオでも活躍。
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