生産性向上させる工夫を/石山社会保険労務士事務所 石山 洋平

2016.01.11 【社労士プラザ】
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28.1.11 最低賃金1000円――この金額を聞いて安いと思う方は少ないだろう。平成28年1月現在、最低賃金は最も高い東京でも907円であり、最も低い鳥取、高知、宮崎、沖縄では693円となっている。民主党政権時代に初めてこの政策の話題が現れたと記憶しているが、当時はリーマン・ショックが発生し、世界的に景気が不安定な時代であったためこの政策にはいささか無理があるのでは?という見方が多かったように思う。

 しかし、アベノミクスの影響もあり株価は上昇し、景気が上向くと仕事はあるが人がいないといった話を多くの業種で耳にするようになった。また、総務省の調べによると、2010年には約7900万人だった労働力人口は、2030年には約6800万人に減少すると予測されている。労働者が減少することは避けて通ることができない問題である。

 商品の需要が増せば価格は上昇し、供給過多になれば価格は低下する。これは高度経済成長期における日本で生じた賃金上昇現象が示しているとおり、労働力の需要と供給でも当てはまる話である。これらを踏まえると、「最低賃金1000円」が現実のものとなるかは別にして人件費が高騰し続けることは間違いないだろう。

 労働者が集まりにくく賃金水準が上昇していく中で、企業がめざすべき方向は何か。それは、時間当たり生産性の向上である。しかし、わが国の国民性なのかは定かではないが、以前から問題視されているように休みにくく、長時間労働が美徳とされるという風潮は以前ほどではないにしろ、消えぬままだ。

 他方、かつては長時間の練習が重要視されてきたスポーツ界では、近年、効率的な短時間の練習方法が取り入れられてきている。短時間で成果をあげるという意味では共通しており、企業でも考えさせられるところではないだろうか。

 いずれにしても、現在の雇用市場は売り手市場であり、今後もこの流れは続くと予想される。長時間労働をしなければ、売上げや利益を確保できないような経営を継続するとその企業では労働者の確保が困難となり、事業が縮小してしまう。そういった事態に直面する前に今からでも時間当たりの生産性を向上させるための種を蒔いてみてはいかがだろうか。

石山社会保険労務士事務所 石山 洋平【広島】

【公式Webサイトはこちら】
http://www.romu-kanri.com/

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    平成28年1月11日第3048号10面 掲載
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