「売る力」必要なコンサル業務/社会保険労務士法人ビルドゥミー・コンサルティング 代表社員 望月 建吾
30歳のときに開業し、今年で6年目。現在は、スタッフもグループ全体で12人、年商も全体で2億5000万円ほどとなり、都内有数の大事務所といわれるようになってきた。売上げの大半が、長時間労働を削減してヒトと組織の生産性を上げる「残業ゼロの労務管理支援」や就業規則を労使共働のワーキング・グループで納得感を得ながらつくる「WG式就業規則づくり支援」といった、コンサル領域の業務だ。
多くの同業から、「コンサル業務をやりたい」と相談を受ける。「社労士だと高額な報酬を受けられないのでコンサルをやりたい」といった人もいた。我われのような一部のコンサルに強い法人が少人数で売上げを上げ、格好よく映るのかもしれない。
しかし、私は、多くの社労士がコンサルタントの仕事について誤解していると思う。私は、新卒で外資系戦略コンサル会社に入って以来、この道一筋なので、この辺りに思いが至る。そもそも、3号業務とコンサル業務は、全く別物である。まず、多くの社労士がここを勘違いしている。
3号業務とは社労士法によると、「事業における労務管理その他(中略)に関する事項について相談に応じ、又は指導すること」であり、この条文は明らかに労務顧問業務を想定している。だから、決して3号業務はコンサル業務ではない。
一方、コンサルタントの役割とは、「会社の売上げ(利益)を上げること」である。人事コンサルタントは、人事制度づくりなどのスキームを通じて、会社の売上げ(利益)を上げる。コンサルタントを名乗る以上、ここに命がけでコミットし結果を出すのだ。
また、コンサル業務をやりたい同業の多くがナレッジ偏重だ。重要なのはナレッジよりも、「売る」ことである。コンサル業務は高額商品であるので、よほど高名でない限りドアノックからの導線づくりが大切だ。スタッフを雇用できるレベルに達するまで助成金や給与計算を売れない者に、コンサル商品は売れないのだ。
昨今ある社労士の「首切り」ブログがSNSで炎上し、社労士の倫理観が問われる事態があった。私はこれを、社労士のコンプライアンス欠如の問題というより、「健全な売る力」の欠如と捉えたが皆さんはどう思われるであろうか。
社会保険労務士法人ビルドゥミー・コンサルティング 代表社員 望月 建吾【東京】
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