普通解雇か自主退職かが争われたあっせん事例
紛争当事者の主張
申請人X(労働者)
Y社長からの指示の有無については不明であるが、9月20日、営業中の車の中で同僚のZ班長より、上司であるW主任から指示を受けたとして「商品を売れなかったら辞めろ」と伝えられた上、同日帰社後W主任に確認したところ、「社長と話をして辞めるなら机の整理をしろ」と言われた。
翌日出社したところ、すでに机や営業かばんなどの備品が撤去されており、Y社長からも話し合いを拒否され続けている。明らかに解雇としての取扱いである。また、突然のことでもあり、会社には解雇予告手当の2倍相当額の金額を支払ってもらいたい。
また、9月15日から3日間は自分を含め売上げの上がらない社員3人が地理の不案内な地域に放置され営業活動を強いられたりした。このような不当な扱いは成績が上がらない自分への退職勧奨と受け止めていた。その直後に解雇通告を受けたものである。
被申請人Y(事業主)
解雇を指示した事実はない。Z班長やW主任には何度も確認したが、両名とも「辞めろと言った覚えはない」旨を言っている。
社内で事実確認を行ったところ、9月20日、Xの営業に同行した社員からは、Xが自分から「片をつける。身を引く」と言っていたと聞いている。また、W主任からは、Xは帰社後「もう辞める。机の整理に明日来る」と言い捨て、帰宅した旨を聞いている。
翌日、Xが定時になっても出社しないことから、前日の経緯もあり、事務員に指示してXの備品を整理した。当社としては、労働者の自主退職であると認識している。
営業地区の指定を行っているのは各人の能力を引き出すための手段であり、退職勧奨などではない。