【ひのみやぐら】簡単ではない安全教育

2016.03.08 【ひのみやぐら】
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 もう、ほぼ四半世紀も前のことだ。事業場の安全衛生活動の取材を終えたところ、ポツリと安全担当者が「安全をやめたい…」とつぶやいた。そのときの表情がいかにも辛そうで、大変な思いをしていることが感じ取れたので、今でも印象に残っている。本来ならオフレコなのだが、かなり昔の話であるので時効をお許しいただきたい。

 件の安全担当者が大変だったのは具体的にどの点なのか、今になっては知るよしもないが、おそらく「人」についてだったのではと推測する。「ヘルメットを被ろう」といっても被らない、「整理整頓」を指示しても片付かない――というように指導をしても、人が思うように動かないことを嘆いていたような気がする。つまり、安全教育の難しさを心底感じていたのではないかと思われる。

 教育といえばよく登場するのが山本五十六連合艦隊司令長官の「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば人は動かじ」という言葉がある。いっただけではダメで、ここまで手をかけないと人というのは動かないということを、いい当てている。山本長官の言葉のとおり実行できればよいのかもしれないが、安全衛生部署の規模が縮小している現状にあっては、なかなか手をかけていくのも厳しい。嫌われ役になっても、口を酸っぱくして基本ルールを繰り返して訴えかけていくのが最善策かと思われる。

 今号、特集Ⅱでは、レーバー・スタンダード研究所の檜浦徳行所長に改めて、安全教育の重要性について執筆していただいた。安全教育の必要性や基本ルールの徹底、教育のポイントなどについて分かりやすく解説している。

 例えば、事業場の安全対策として「作業標準」「ハザードマップ」「禁止事項の徹底」を強調。とくに「禁止事項の徹底」では、「手順を守らせる指導を軽視する」「あいまいな作業指示をする」などを明確にして徹底するとしている。これは、基本ルールや効果的な教育実施のうえで欠かせないという。

 安全担当者ならば、教育をどう進めてよいか悩まなかった人はいないに違いない。新入社員教育が控えているこの時季、改めて安全教育の意義を確認したい。

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平成28年3月15日 第2254号7頁 掲載
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