後任が入社し育つまで退職を認めないとしたことをめぐる助言・指導事例
助言・指導の内容
民法第627条において、期間の定めのない雇用契約における解約の申入れが定められており、退職の申出を行ってから2週間を過ぎると退職の意思表示が有効となるとしており、これは文書、口頭を問わない。
また、月給制の会社であれば、月の前半に退職を申し出た場合は当月末に、月の後半に退職を申し出た場合は翌月末に、退職は成立するとしている。
申出人Xは12月15日付けの退職を望んでおり、業務の都合があるのであれば、退職日については話し合いに応じるつもりがあると主張している。これらを踏まえた上で、早急に話し合いの場を設けること。
結 果
助言・指導を行った翌日、被申出人Yから申出人Xに対して連絡があり、Xが会社へ赴き、話し合いを行った。現在の仕事の進捗状況や業務の引き継ぎを考慮した結果、退職日は希望どおり12月15日となり、退職届も受け取ってもらえた。
その後、12月15日をもって円満に退職することができ、離職票も早急に交付してもらえた。
【参考条文】
民法第627条
1.当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。
2.期間によって報酬を定めた場合には、解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。
3.6箇月以上の期間によって報酬を定めた場合には、前項の解約の申入れは、3箇月前にしなければならない。
助言者が民法第627条の規定内容と趣旨を被申出人Yに説明し、申出人Xが退職日については考える余地があるとしていることを伝えるなど、両者の間を取り持って調整を行ったところ、Xは円満に退職することができた。
※この記事は弊社刊「都道府県労働局による 助言・指導 あっせん好事例集―職場のトラブルはどう解決されたのか」(平成24年3月30日発行)から一部抜粋したものです。