イクボスと働き方改革/さくら社会保険労務士事務所 代表 脇本 美緒
昨今、働き方改革を推進するなかで、残業時間が会社貢献のバロメーターとされていた時代から、仕事の質と時間を重視した考え方にシフトしている。
この考え方は、今までの日本の就労イメージをガラリと一新させた。日本はOECD加盟国の中で労働生産性の低い国として分類されていることは悲しい限りだが、実際に企業研修などを行うと、現場の声を踏まえて工夫できる点は数多く、生産性向上に結び付く改善の余地は大いにあると感じている。
そして、その舵取りを担うのはトップや管理職であり、今後ますます活躍の幅が広がることになるだろう。
愛媛県は現在、イクボスの愛媛版である「ひめボス」事業を行っている。
「ひめボス」の取組みは、部下の仕事と生活の調和を考え、組織の業績や成果を出しつつ上司自らも仕事と私生活、地域参画などを楽しむことを宣言するところから始まる。
また、グランプリ表彰や好事例を共有し刺激し合うことで「ひめボス」の輪を広げていく取組みも行っている。これはまさしく働き方改革を進める絶好のチャンスである。
その一環で、私は企業支援やインタビューをする機会に恵まれた。そこで気付いたことを述べたいと思う。
「ひめボス」に共通するのは、部下を一律に一括りに扱うのではなく、個々の事情に合わせた柔軟な解決策を一緒に考えていることである。
そして、フェアな「お互い様」風土の醸成とともに、フォロー者に対しては適切な評価をすることで、負担感を、貢献する喜びやキャリア向上へと転換している。
併せて、自身の働き方を見直し、プライベートも充実させている。仕事の面白さを知っているのも「ひめボス」である。仕事と私生活の均衡を保つだけでは終わらない。部下との会話の中で、そつなく、仕事に対する助言を行ったり、仕事への姿勢を示すことも忘れていない。だからおのずと部下が付いてくる。換言すると、皆が会社に誇りを持ち、同じベクトルを向けて生産性を上げているのだ。
働き方改革の過程では、ボスと部下の弛まぬ努力があり、そして伸びしろが大きい分、希望を持って未来を変える力がある。これは「強い会社」の共通点でもある。
私自身、社労士として今後も「いつやるか、今でしょ!」の言葉を拝借しながら、企業の方々とより「強い会社」へ成長するために一緒に悩み伴奏していきたい。
さくら社会保険労務士事務所 代表 脇本 美緒【愛媛】
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