【ひのみやぐら】新人教育は挨拶から
さまざまな業種で人手不足が叫ばれていることを思うと、数値をみるまでもなく雇用情勢は悪くはないようだ。今年も多くの若者の入社が期待できる。企業の担当者はこの時季、新入社員教育に忙しくなる。
更衣室、ロッカーの位置やら勤怠表のつけ方など社内ルールをイチから教え、安全衛生担当者は労働安全衛生法の「雇い入れ時教育」を行わなければならない。
いまさらながら解説すれば、雇い入れ時教育は、新規採用者が安全衛生の知識がないまま未経験の作業を行うと労働災害につながりかねないため、未然に教育を実施しておくことである。その内容は「機械等、原材料等の危険性又は有害性及びこれらの取扱い方法に関すること」「安全装置、有害物抑制装置又は保護具の性能及びこれらの取扱い方法に関すること」「作業手順に関すること」――などとなっている。
これに追加して教えておきたいのが「①人として当然、守らなければならない基本的な礼儀と行動(道徳や倫理など)に関すること、②挨拶など日常生活でエチケットに関すること、③社内や職場での災害やヒヤリ・ハット事例について、④事業場や職場の活動方針と活動内容について、⑤コスト意識や品質に関すること」(月刊安全衛生ノートVol.29より引用)で、とくに①と②は重要としたい。挨拶は礼儀の始まりであるし、礼節をわきまえず、人として基本的な行動ができないようであれば、とても皆が一体となって取り組む安全衛生活動に参加できるわけがない。なお、〝挨拶問題〟は「産業カウンセリングの現場から」でも触れている。あわせてお読みいただきたい。
また、きちんとした道徳、倫理感を持ち合わせない者は、指示や基本的ルールを守れるわけがなく当然、災害に巻き込まれる可能性も高くなる。礼儀や道徳などは、教育担当者がいって聞かせるだけではなく、前年度の先輩社員に登壇してもらい「体験談」を語ってもらうのもいいだろう。年齢が近いだけに、彼らの話す失敗談などは親身に耳を傾けるのではないか。
風とおしのよい職場づくりの第一歩は挨拶から。