労働問題に悩む中小企業経営者/弁護士 片野田志朗
2016.03.19
【弁護士による労務エッセー】
今回は、私が取引先や顧問先の中小企業の経営者(使用者側)から、普段どのような労働問題に関する相談を受け、また、経営者は労働問題に対していかに頭を悩ませているか、その一端をお話してみたいと思います。
中小企業の経営者からの相談といえば、売掛金の回収、契約不履行による損害賠償請求、消費者からのクレーム対応といった商取引に関する相談ももちろんありますが、意外?と多いのが労働問題です。業種や経営者の性格等にもよりますが、相談のうちの約4割が従業員に関する相談で、そのうち約8割が労働問題という感覚です。
商取引から生じるトラブルは、ある程度ビジネスライクに捉え、後は証拠に基づいて経済合理性を追求すれば足りるので、予測可能性がありそこまで深刻にはなりません。
しかし、従業員の問題、特に労働問題は別のようです。経営者は他のトラブルより頭を悩ませていることが多いように見受けられます。その理由として以下の2つのことがあるのではないかと考えます。
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