経歴詐称を理由とする懲戒解雇の是非をめぐる助言・指導事例
2016.03.19
【助言・指導 あっせん好事例集】
助言・指導の内容
申出人Xは、他の営業職の労働者と同条件で仕事をこなしており、身体上の問題が仕事に支障をもたらした事実がなく、また、仕事上取引先とトラブルを起こしたり、その他ミスが続く等の事実も認められないことから、被申出人Yにおいてその労働条件の体系を乱し、健全な企業運営を阻害されるなど、企業秩序に対し具体的な損害または侵害を及ぼした事実が認められないので、Xに対し行った懲戒解雇処分を取り消すこと。
結 果
指導を受けた被申出人Yは、申出人Xと話し合った結果、Xは他の就職先を見つけたため職場復帰せず、YはXに対して補償金を支払うことで和解した。
【参考裁判例】
スーパーバック事件(東京地裁昭和55年2月15日判決)
まこと交通事件(札幌地裁昭和61年5月23日判決)
秋草学園事件(浦和地裁平成11年1月21日判決)
判断のポイント
1.障害者であること、手術を数度受けたことを申告せず、履歴書に職歴の一部を記載しなかったことが「重要な経歴詐称」とされるか。Xは、他の営業職の労働者と同条件で仕事をこなしており、身体上の問題が仕事に支障をもたらした事実がないこと。
2.職歴により業務の遂行が左右されるような職務ではなく、仕事上取引先とトラブルを起こしたり、その他ミスが続く等の事実も認められないこと。
※この記事は弊社刊「都道府県労働局による 助言・指導 あっせん好事例集―職場のトラブルはどう解決されたのか」(平成24年3月30日発行)から一部抜粋したものです。