経歴詐称
この面接官の人、どこかで見たような…
人…じゃないだろ、これ。
解 説
採用時に提出された履歴書、採用面接への応答に虚偽がある場合、重要な経歴を詐称したものとして懲戒事由に該当することがあります。厚労省のモデル就業規則には、「重要な経歴を詐称して雇用されたとき」は、懲戒解雇とするという文言があります。みなさんの会社の就業規則も確認してみてください。マンガでは「過去の悪事」に関する質問がありました。犯罪歴の詐称についても経歴詐称に当たる可能性があります(炭研精工事件、最一小判平3・9・19)。
中途採用者については比較的即戦力が求められるため、経歴等もより重視される傾向があります。アメリカで経営コンサルタントをしていたとする履歴書を信用して採用したものの、過去の実刑判決を受けて服役した期間があり、その間もコンサルタントをしていたなど虚偽の記載をしたことを理由として、懲戒解雇した事案(メッセ事件、東京地判平22・11・10)があります。
裁判所は、「虚偽の経歴も重視して労働力を評価し、雇用契約を締結したことが認められ」、「経歴詐称それ自体が、使用者と労働者との信頼関係を破壊するものであるといえる」として、解雇に客観的合理的な理由があるとしました。
それにしても、マンガで盗みと恐喝を正直に告白した曽呂君はこのまま採用されたのでしょうか…。
※マンガは労働新聞平成24年11月5日第2895号12面「人事学望見 第886回 中途採用社員の本採用拒否 期間前の解雇は高い合理性必要」をヒントに描いたものです。詳細は労働新聞読者専用サイトにてご覧ください。