【主張】設備劣化問題の拡大防げ

2016.03.28 【主張】
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 労働災害において設備・装置の経年劣化が問題視され始めている(本紙3月21日号1面既報)。高度経済成長期やバブル経済時代の生産拡大期に設置してきた大量の設備に腐食や劣化が生じ、これによる死亡災害などが増加傾向にあるという。厚生労働省が把握しているのは、平成19年以降12件(死傷者16人)に留まっているが、今後さらに増加する危険性がある。

 鉄鋼業はもとより、同じ装置産業である化学、石油、セメントなどの業界企業は、改めて設備・装置の劣化状況を日常的に確認すべきであり、そのためのコストを惜しんではならない。設備劣化を原因とする労働災害は、労働者の死亡につながりやすく、日常点検により防止できれば逆に効率的と考えるべきである。

 日本は戦後70年を経て、あらゆる分野において設備の経年劣化への対処が迫られている。労災分野も例外ではなくなっている。製造業全体において、設置から20年を経過した生産設備が約3割に達し、日常的に作業している場所で思いもよらない労災が発生している。

 とくに老朽化が進み要注意とされる箇所は、設備の点検通路、通路のデッキ、コンベアのメッシュ床、塩酸タンク、汚水層などである。実際に発生した災害例をみると、製紙工場内の汚水処理施設の上で作業していた労働者が、腐食により突然覆いが折れて汚水層の中に墜落し死亡災害となってしまった。石油製品製造業では、軽油タンクを定期点検していた労働者が、腐食により薄くなった屋根を踏み抜きやはり溺死した。

 厚労省の示した自主点検表に沿って劣化判定し、腐食などが進んでいる場合は、立入禁止にして早急に補修することになろう。もちろん、リスクアセスメントの実施も有効である。「危険性又は有害性等の調査等に関する指針」では、機械設備などの経年劣化時期を目安として調査を実施すべきとしている。

 製造業が経済社会を支えている日本においては、生産設備の経年劣化対策は避けて通れない。これ以上社会問題化しないよう腰を据えた対応を望みたい。

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平成28年3月28日第3058号2面 掲載
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