【安全衛生・お薦めの一冊】『国民は150人の命を救えるか! ~建設職人に光を 明るく楽しい建設産業を創る一足場職人の55年の軌跡を追って~』
2013.07.01
【書評】
墜落労働災害撲滅を
建設災害で墜落する死亡事故者数は、年間150人を数えるといわれる。安全衛生に携わる者ならともかく、一般的には知られていない事実だ。本書は、建設業の発展を支える「縁の下の力持ち」として仮設現場の安全確保に尽力する全国仮設安全事業協同組合(略称、アクセス)の活動を紹介したもの。
「点検に優る安全なし」とアクセスは、工事現場の事故を根絶やしにするため、ボランティアで足場の点検を行っている。アクセスの仮設安全監理者が点検した現場では、一度も死亡事故が起きていない。安全な足場を設け、専門職に点検させる――この明快な理論を徹底させることで、無事故は達成できると指摘する。また、建設業の職人が誇りを持って働くことができるように地位向上を訴える。
アクセスを立ち上げた小野辰雄理事長は、職人時代に2度墜落を経験。その安全哲学は真に迫るものがあり、読み応えがある。
(IN通信社刊、鶴蒔 靖夫 著、TEL:03-3499-3601、四六版、269ページ、1800円+税)
平成25年7月1日第2189号 掲載