【安全衛生・お薦めの一冊】『元安全衛生行政マンが語る災害・疾病事例と労災防止対策』
2014.05.01
【書評】
悲惨な現場を直接体験
労働基準監督署に長年勤務していた著者は、当時の災害調査を振り返る。現場はきれいに片づけられていることが多いのだが、時として被災者の遺体に対面することもあり、筆舌に尽くし難いショックを受けたという。
本書は、悲惨な現場に直接立ち会った著者の体験から、労働災害防止を呼びかけるもの。第1章では、災害防止のメカニズムから安全衛生管理体制の確立、リスクアセスメントの実施など押さえておくべきポイントをあげた。
第2章は50の災害事例を取り上げた。「災害のあらまし」「考えられる原因は?」「再発防止対策」の構成となっている。取り上げた事例はいずれもマスコミで大々的報道されたものではなく、どこで発生してもおかしくはない身近なもの。
災害は起こしてはいないが、危険感受性に疑問を感じる会社は安全教育用の副読本にしたい。
(労働新聞社刊、後藤博俊著、TEL:03-5926-6888、A5判、248ページ、1700円+税)
平成26年5月1日第2209号 掲載