12年間の総括と今後を見据えて(使用者側の労働弁護士として)/弁護士 岡崎 教行

2016.03.25 【弁護士による労務エッセー】
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③ 訴訟で勝つために必要なこと

 当職が寺前弁護士の下で12年間勤務をして、実感するのは、訴訟で勝つためには、手を抜かないこと、諦めないということです。未払残業事件であったり、解雇事件であったり、事件化してから御相談に預かる場合には、結論として勝つのが難しいという事件もたくさんあります。そういった事件は出来る限り、円満に解決の方向を目指すのですが、そうではない事件、とりわけ、微妙な案件については、手を抜かない、諦めないことで勝訴の確率は高まるというのが実感です。その1つが、先ほど書いた、正に準備書面の内容を分かりやすく裁判官に伝えるということです。その外にも、学んだことはたくさんあるのですが、それについては、ここでお伝えするというのはノウハウの垂れ流しになってしまうので、止めることにします(笑)。

 常に、勝つために今やれることは何なのかを考え、行動する、これに尽きると思います。

 それから、自分のプライベートを犠牲にする覚悟も大事だと思っています。なんせ労働事件の場合、起案量が多いので、当然に多大な時間を要します。時間を作るには、必然的にプライベートの時間を削るということになります。

 プライベートも充実させて、仕事も充実させてというのは理想なのでしょうが、なかなかそう上手くはいきません(自分の効率の悪さなのかもしれませんが)。

今後の抱負

 今後の抱負を考えてみて、はたと昔のことを思い出しました。当職、事務所に入所する際、寺前弁護士に、企業の代理人であれば、コンフリクトはないはずなので、日本の全企業の顧問弁護士となり、労働法といえば当事務所と言われるようになりたいと言ったことを。今思えば、なんて浅はかな、恥ずかしい発言です。

 ただ、12年も経つと、なんとなく業界の常識に流されているような気がしていますので、今一度、あのときの若かりしときの意気込みを思い出し、初心に戻って、頭を柔軟にして、せっかく取得した中小企業診断士の資格も活かして、お客様によりよいサービスをするためにはどうすれば良いのかを考えていきたいと思っています。

弁護士 岡崎 教行
牛嶋・寺前・和田法律事務所
<略歴>
2000年 法政大学卒業
2001年 司法試験合格
2002年 法政大学大学院卒業
2003年 弁護士登録(第一東京弁護士会)
2015年 中小企業診断士試験合格
経営法曹会議会員

<著書>
「使用者側弁護士からみた 標準 中小企業のモデル就業規則策定マニュアル」(日本法令、共同執筆)、「現代労務管理要覧」(新日本法規出版、分担執筆)「Q&A人事労務規程変更マニュアル」(新日本法規出版、分担執筆)、ビジネスガイド2014年4月臨時増刊号「最新重要判例から読み解く労務トラブル解決の実務」「日本航空事件」(日本法令)、ビジネス法務2014年7月号「間接差別の広範化」(中央経済社)、ビジネス法務2015年2月号「限定正社員への移行手続」(中央経済社)、ビジネスガイド2015年2月号「最新判例を踏まえたマタハラトラブルリスクとその予防策」(日本法令)、ビジネスガイド2015年5月号「最新解釈通達を踏まえた企業の産休・育休取得者への対応上の留意点と実務」(日本法令)、ビジネスガイド2015年6月号「妊娠・出産・育児休業等を契機とする不利益取扱いに係るQ&A徹底解説」(日本法令)、ビジネス法務2015年9月号「ストレスチェック制度の導入と運営 実施から就業上の措置までの流れ」(中央経済社)、ビジネス法務2016年2月号「柔軟な働き方を実現する制度」(中央経済社)

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