計画年休
そもそもどんな仕事をしているのかしら。
まぁ、労働者にとっては
仕事内容より労働条件の方が重要だからな。
解 説
厚生労働省「平29・就労条件総合調査」によれば、年次有給休暇の取得率は、49.4%(繰越日数を除くと、48.7%)となっています。企業規模が小さくなるほど、取得率も低下している状況です。
そのような中で、有給消化率100%をウリにしている企業もあるようです(マンガではなく実際に)。とはいえ法定の年休は労働者の請求が前提です。使用者が指定して強制的に取得させるわけにはいかず、労働者が拒否したときは、一方的に当日を年休日として休養させることはできません。
取得率向上に関して、会社としては、たとえば、計画的付与(労働基準法39条6項)を活用する手はあるかもしれません。年休の残日数のうち5日を残して、労使協定により付与できるというものです。繰越分がある場合には、それも含めて5日を超える部分が対象になります(昭63・3・14基発150号)。計画的付与には、たとえば一斉付与のほか、班別の交替制付与や計画表による個人別の付与も認められています。
ちなみに、「病人の介護、通信教育のスクーリング等特別の目的のために年休を使用する必要があり、自由取得休暇を多くすることにつき合理的理由がある者については、いわば強制的に本人の希望の有無にかかわらず年休を付与することが適当でないので、計画的付与の対象から除外する等の配慮をした協定内容とすることが必要」との見解もあります。
「働き方改革法案」では、年休の日数が10日以上の労働者に対し、5日については、年休の付与後、1年以内に時季を定めて付与しなければならないとしています。ただし、労働者が自ら時季を指定して取得した日数や計画付与により付与した日数を含めて考えます(5日取得していれば別途付与は不要)。
※マンガは労働新聞平成26年3月24日第2962号12面「人事学望見 第952回 計画年休で消化率を高めよう 権利ない者には特別休暇与えて」をヒントに描いたものです。詳細は労働新聞読者専用サイトにてご覧ください。