人生に寄り添った支援へ/熊谷社会保険労務士事務所 熊谷 祐子
私は現在、介護事業の労務管理、成年後見、障害年金の請求を主軸とし、セミナー講師等も行っている。
最近思うことがある。仕事も人生も全てがつながっているのだと。「人脈こそ宝なり」というが、私のこれまでの仕事人生を振り返ってみると、本当にそのとおりである。人事・総務・経理を経て、営業部で奮闘している時に実母の介護のために介護離職を経験した。その後、介護全般を運営している社会福祉法人に再就職したが、介護離職がなければ介護の世界を垣間みることもなかった。
私は介護の資格があるわけでもなく、人事部所属のため直接的な支援をしていたのではないが、様ざまなことを教えてもらった。その時に社労士資格を取得したのだが、人事部での私の業務は、給与計算や社会保険・労働保険の手続きなど、若い頃にやっていた業務を思い出すのにはちょうど良かった。将来独立したときのためのリハビリのように感じていた。
母を看取り、社会貢献として私にも何かできないかと思案していた時に、成年後見制度に出会った。第1回社労士成年後見人養成研修を受講し、学ぶうちに、とても奥深いことだと感じた。必要な人に必要な支援を――直接介護ができなくても、成年後見人という仕事は今後とても重要になってくる、私にもできる社会貢献だと思った。そんな中、任意後見を受任し、さらに知識を深めることができた。
私たち社労士は産前産後休業の相談から始まり、働いている時には労務相談、そして成年後見人まで行える人生のトータルコーディネーターだと思う。死後の事務まで行うと、まさに「ゆりかごから墓場まで」なのである。その人の人生に寄り添ったサービス提供ができるのだ。
障害年金の相談では最初に、納付要件と初診日を確認するが、1カ月未納があっただけでも受給資格がない場合がある。せめてこの期間にあと1カ月納付してあれば…と思うことがある。自分が障害を負うことになるとは夢にも思っていなかったのであろう。子供のうちに社会保障の仕組みを知ってもらい、このようなことがないようにという思いから、時々ではあるが学校教育にも協力させていただいている。
顧問先も昔の仕事仲間や知合いばかりのため、本当に人脈が仕事につながっていると痛感する。今後もこのスタンスで、事業主、被後見人等のご本人に寄り添い、人を大切にする社労士でありたい。
熊谷社会保険労務士事務所 熊谷 祐子【東京】
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