右腕が引きちぎれる労災が発生 金属加工事業者を送検 千葉労基署
2018.04.11
【送検記事】
千葉労働基準監督署は鋼板を加工していた労働者の右腕が引きちぎられた労働災害で、金属加工業者と同社の代表取締役を労働安全衛生法第20条(事業者の講ずべき措置等)違反の疑いで千葉地検に書類送検した。
同社は主に建設現場で使う柱や梁、階段などの金属部材の加工を営んでいる。労働災害は平成28年6月13日に同社の工場内で発生した。被災労働者は鋼板の穴をビスの頭にあわせて削る、「ざぐり」作業をしていた(図)。ボール盤に鋼板を乗せ、鋼板を手で動かし削っていたが、手元が狂い回転する刃物に右手が接触。右手はそのまま刃物に巻き込まれ、右腕の肘から先が引きちぎれた。労働者は病院に運ばれたが、右腕は治らなかった。
労働安全衛生法はボール盤の回転する刃物に手が巻き込まれる危険があるときは、作業時に手袋を使用させてはならないと定めているが、被災労働者は鋼板の「バリ」で手を切らないよう革手袋を付けていた。同労基署は「手袋をしていなくても巻き込まれる危険はあるが、今回の巻き込まれは手袋が引っかかったことが原因」としている。事業者に危険性の認識はあり、指導もしていたが、指導をする側も受ける側も「毎回のことでマンネリになっていた」と話しているという。
被災した労働者は当時71歳の男性で、社歴は9年だが経験は豊富だった。事業場の労働者は被災労働者を含めて3人で、全員が年配のベテランであり、過去に事故なども起きていなかった。
【平成30年3月20日送検】