【見逃していませんか?この本】贔屓のチーム以外の選手も好きになる一冊/カネシゲタカシ編『みんなのしあわせになるプロ野球』

2018.05.21 【書評】
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 野球好きなら誰もが1つや2つは持っているであろう泣ける・笑えるエピソードを集めたのが本書だ。世の中に、”プロ野球選手が主役”のエピソードは星の数ほどあるが、”ファンが主役”のエピソードは?――その観点でいえば、おそらく前例のない書籍といえよう。

 出てくるのは必ずしも有名選手にまつわるものばかりではない。思いのほか身近な話題で溢れている。

 泣けるエピソードでは、ベーブ・ルースのホームランが病気の少年を勇気付けた有名なエピソードによく似た実話や、1本のヒットで生きる希望を見出した話などを収める。なかには、泣ける話なのに義母が絡むオチが付くものもあるが、そこはご愛敬。

 一方の笑えるエピソードは、阪神優勝に便乗したセールの件や、ある大物プロ野球選手を結果的に草野球に誘ってしまった失敗談、「あの頃のパリーグ」を象徴するような川崎球場でのロッテ・初芝選手への掛け声の話などを載せた。

 以前本欄で紹介した「みんなのあるあるプロ野球」や「みんなのプロ野球川柳」の派生シリーズ本に位置付けられる。今回は企画会議を、編者が出演するユーストリームを通じて実施。結果、出来上がった本はより「みんなの」感が高まった。あえて後書きを付けず、愛娘へ「野球には失敗がない」という考えを根付かせるなどして、見事ディープな野球好きに育て上げたエピソードを巻末に持ってきたところは、なんとも粋な計らいだ。

 逸話の数々は、贔屓のチーム以外の選手も好きになるような代物ばかり。より野球そのものを好きになる一冊で、「これは『ファン』から『プロ野球』への、ラブレターです」という編者の言葉は、真にこの本を象徴する一文だ。

 かねしげ たかし ・1080円/漫画家。無類の野球好きで、毎日ツイッター上で野球大喜利を開催。それと連動する『アサヒ芸能』での連載はまもなく7年目に。昨年からはテレビ朝日系列の『サタデーステーション』でのマンガを担当する。『あるプロ』シリーズ1~5作目、および『みんなのプロ野球川柳』は累計9万部を突破した。今春、1児のパパに。

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