“手抜き”が崩壊招く 労働者1人窒息死で建設会社を送検 さいたま労基署
2018.06.13
【送検記事】
さいたま労働基準監督署は下水管の設置作業中に労働者が生き埋めになり死亡した労働災害で、建設業者と同社の現場代理人を労働安全衛生法第21条(事業者の講ずべき措置等)違反の疑いでさいたま地検に書類送検した。土止めの矢板を減らし作業をさせた結果、地山が崩壊したという。
労働災害はさいたま市が発注する同市桜区の下水管敷設工事現場で起きた。現場では下水管を設置するため、深さ2.2メートル、幅1メートル、長さ8メートルの掘削をしていた。被災労働者は地山の中で下水管の位置を決める作業をしていたが、のり面の片側が崩壊し、生き埋めになった。1時間ほどで救出され、病院に運ばれたが翌日死亡が確認された。死因は低酸素脳症だった。
労働安全衛生法は土砂が崩壊することによって労働者に危険をおよぼすおそれのあるとき、土止めを設けるなどの危険防止措置を講じなければならないと定めている。しかし、現場では時間短縮のため、土止めに使う矢板の数を減らすなどの“手抜き”が行われており、防止措置として十分でなかった。
同社の現場代理人は同労基署の調べに対し、「工期の関係で作業時間を短縮する必要があった」と供述しているという。
【平成30年5月18日送検】