派遣会社に半年の事業停止命令 労働者供給行う 奈良労働局
2018.06.12
【監督指導動向】
職業安定法が禁止する労働者供給事業を行ったとして、奈良労働局は労働者派遣許可事業主の近畿商工㈱(奈良県大和郡、堀口伸一代表取締役)に半年の事業停止と事業改善を命令した。事業停止期間は平成30年5月22日~11月21日まで。
同社は派遣先B社に対し、堀口代表取締役が同じく代表取締役を務めるA社で雇用した24人の労働者を派遣した(図)。賃金の支払いと雇用関係はA社にあったが、代表取締役が同じことから、業務命令に従う必要があるなど、同社と労働者の間には支配従属関係があった。
労働者派遣契約は同社と派遣先B社の間で締結されていた。派遣先B社は同社の労働者だと思っていたという。労働者供給事業は少なくとも26年7月20日から29年7月19日まで行われ、1万1686人日に上った。
違反の理由について同社は「事務手続きを失念していた」と話しているという。同労働局は今後、同社に報告書を提出させ、違反の解消を確認するとしている。
都道府県労働局では派遣会社への行政処分を、違反の態様や悪質性を総合的に勘案して決定している。半年の事業停止は重い処分となる。
派遣会社の法違反は一般的に、定期指導か関係者からの情報提供によって明らかになるケースが多いが、同社の違反が発覚した経緯については「答えられない」(同労働局)としている。
【平成30年5月21日行政処分】