魅力ある職場づくり/社会保険労務士事務所GJパートナーズ 小田 香里
私は、社労士として仕事をする傍ら、大学でキャリアアドバイザーや非常勤講師としても勤務しており、大学生との就職相談の中で気付いた点がある。
リーマン・ショック後の2009年頃の学生と、近年就職活動をしている学生とを比較すると、学生が、仕事や会社に求めるものや意識が変化してきているように思う。
今年就職活動をしている学生に、どういう会社でどういう仕事がしたいと思うか、と尋ねた際、一部の学生ではあるが、第一声に、「オンとオフがちゃんとある会社」「ワーク・ライフ・バランスが実現できる会社」「週末は趣味の時間が取れる会社」と、これまで学生から聞くことがなかった言葉が出てきた。そう考えること自体は全く問題ないが、まずは、働き方ではなく、どのような仕事をして働きたいか、ではなかろうか。
新聞やニュースで働き方改革という言葉を目や耳にする機会が多いなか、学生は、ついつい働き方そのものに目が向いてしまうのかもしれない。そこで、キャリアに関する講義では、「働くとは?」ということを意識付けるための話をするようにしている。働き方は働くための方法、手段であって働く目的ではないのである。
マイナビの2019年大学生就職意識調査によると、大手企業志向がさらに上昇している。だが、企業選択のポイントの1位は、「自分のやりたい仕事ができる会社」で、行きたくない会社の1位は、「暗い雰囲気の会社」だそうだ。企業としては、採用の面から学生にとって魅力を感じられ、働きたいと思う企業になっていかないと、人手不足のなか、採用がさらに難しくなっていくのではないだろうか。
このような点から社労士として、企業に対してできることは、働きたいと思う魅力ある会社への制度や意識づくりのお手伝いである。たとえば、①若手社員や非正規社員も公平公正に評価される制度づくり、②風通しの良い環境づくり、③生産性の向上など。例として、固定残業代の活用。30時間の固定残業代がプラスされていれば、残業しなくとも残業代がもらえる。早く仕事を終わらせて生産性を上げる方向に持っていければ良い。また、あるメガネチェーンでは、自分の上司を自分で選ぶということで、社内で選挙を行い、新入社員から社長まで全社員が投票し管理職を選ぶという制度を導入している。社員が納得できる人事が行われ、離職率が減ったそうだ。このように、やれることはたくさんありそうだ。
社会保険労務士事務所GJパートナーズ 小田 香里【東京】
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