残業拒否
同じ業務でも能力に差があると、
管理するのが大変ね。
催眠術で切り抜けようなんて…
本人にやる気が無けりゃ、
いつまでも出来ないままだろうに。
解 説
残業しなければならないケースとして、①使用者が命じる場合(労基法37条では、使用者が労働時間を延長した場合等において割増賃金を支払わなければならないと規定)があります。とはいえ、従業員の判断に任せている部分もあり、ダラダラ居残り残業を禁止するため、②従業員が上長の許可を得た場合の規定を就業規則等に置いている会社さんもあるでしょう。
①使用者が業務命令の権限を有していても、「従業員の個人生活と衝突した場合に具体的に行使した時間外労働命令が有効か否かはまた別問題」とされています(労働契約法3条5項の適用があるとしたものに、土田道夫「労働契約法」)。
裁判例には、JR東海(大阪第三車両所)事件(大阪地判平10・3・25)があります。就業規則には「正当な理由がなければ、これ(時間外労働等命令)を拒むことはできない」という規定がありました。判決では、時間外命令の拒否の正当性を否定しています(懲戒処分有効)。
残業拒否の問題はそれとして、今後は「働き方改革関連法案」の影響により、時間外労働の時間数を削減する方向で企業が取組みを強化する可能性はあります。大手のIT関連企業や電気メーカーが、残業代の一部を賞与として還元するという報道もありました。
※マンガは労働新聞平成27年6月22日付第3022号12面「人事学望見 第1011回 残業命令拒否で懲戒解雇とは 過去にあった複数の処分歴響く」をヒントに描いたものです。詳細は労働新聞読者専用サイトにてご覧ください。