労使間の溝を埋める/サンライズ社会保険労務士法人 代表社員 菅原 浩紀
横浜と山形で事務所を構えている。別世界といっても過言ではないほど都市と地方の違いは歴然としているが、社会保険労務士としてお客様にかかわってみると、企業の抱えるお悩みは見事なまでに同じだ。均質化した問題社員は全国津々浦々に存在する。
近年、労働者の側には「ブラック企業」という「共通の敵」ができ、自分の正当性のよりどころとしているようだ。企業側は、そんな労働者を戦力とし、利益を上げるため「社員の育成」に力を入れる。両者は、心理的にすれ違った環境でお互いの望みをかなえようとしているようである。
労働者は労働基準法で守られている。このことを知らずに、「ブラック企業」に関する知識だけが加わると、労働基準法の精神をはるかに超えた権利意識に目覚める人もいるようだ。一方で、日本人の大多数は契約精神が薄い。
平成19年に労働契約法が制定された。働くということは契約に基づいていることなのだ。日本の会社は「正社員」と「契約社員」という区別をするが、全員が契約に基づいて働いている「契約社員」である。自身が労働力を提供するといった契約は、プロスポーツ選手だけのものではないのだ。契約はお互いに与えるものと得るものがあるから成立する。
使用者を強者、労働者を弱者と位置付け、労働者は使用者と対等ではないという前提で、労働基準法を盾にした働き方をしている限り、労働者は自身を「弱者」と、企業を「ブラック」と定義せずには企業に対抗できない。
労働契約法にあるように、労働者と使用者が対等な立場で、自主的な交渉の下で労働契約を結び変更もすれば良い。労動基準法は十二分に労働者を保護しているので問題ない。そうすることが、人生で大きな時間を費やす職場をより良くすることにつながると思う。
また、その先にこそ「同一労働同一賃金」や「女性の活用」といった、現在の日本の労働環境の課題解決への道も続いているだろう。
社会保険労務士として、様ざまなアプローチを通じ、使用者と労働者の間の溝を埋めることで、労使ともに幸せを感じられる職場環境を実現するお手伝いができれば、自分の人生も意味あるものになる、と感じている。
サンライズ社会保険労務士法人 代表社員 菅原 浩紀【神奈川・山形】
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