【安全衛生・お薦めの一冊】『イラストで学ぶ高所作業の知識とべからず83事例』
2018.07.26
【書評】
ピット付近に設置の盲点
1mは「一命を取る」とはよくいったもので、高所作業の真の恐ろしさは経験者でしか分からない面がある。本書は、数々の現場で安全対策のエキスパートとして活躍してきた著者が、高所作業の災害防止の決め手は、「落ちない状態の確保」だという本質的な問題認識に基づき、83事例の「べからず」と「するべき」をイラストを交えながら解説したもの。
例えば、可搬式作業台をピットの路肩に設置した場合では、「作業台の高さが90cm程度でも、作業台の作業床からピットの底までの深さは、プラスされるので『危険な高所作業』となる」と盲点を指摘。対策としては、「くさび緊結式足場」を組み立てる、または補助手すり付き可搬式作業台を使用し固定することを勧めている。
そのほか、足場やはしご、受水槽(タンク)、開口部なども網羅されており、高所作業の安全対策のキモを一冊に凝縮している。
(中野洋一著、労働新聞社刊、TEL:03-3956-3151、A5判、178ページ、1700 円+税)
平成30年8月1日第2311号 掲載