必要とされる存在めざし/社会保険労務士法人 むらだて事務所 村舘 俊樹
大学を卒業した2009年に父の事務所で社労士を開業し、9年目になった。開業当時は、リーマン・ショックの直後ということもあり、多くの企業が人員過剰の状態で、私の大学の同級生も就職活動で苦労していた。当時、「60歳以上の方には引退してもらいたい」「ハローワークに募集を出したら応募者が殺到して困る」と話している会社が多かった。
それが2011年の震災以降、徐々に「ハローワークに募集をしても応募者が来ない」「今働いてくれている高齢者の方にはもっと頑張ってもらいたい」と話す会社が増えてきた。現在では多くの会社で人員不足を訴えており、どうすれば応募者が集まるのかという相談を頻繁に受けるようになった。
それに伴い、増えてきたと感じるのが労使間のトラブルである。人員不足の会社は、応募者があれば、多少問題があるような人や適性のない人でも採用してしまう。また、すでに雇用している人たちの時間外労働が増えるなど、既存の人たちの負担が大きくなり、不満が募っていく。今後日本の人口が減少していくことを考えると、この人員不足の状況は続き、労使間のトラブルはますます増えていくと思われる。
この労使間トラブルは長引くと、労使双方に悪影響を及ぼす。
社労士は労働法に精通しているので、労使間トラブルの解決や予防に大きな役割を果たせる。労使間トラブルに発展した多くのケースでは、労働者は会社に居づらくなり、退職を選択する。その際に労働者は今後の生活に不安を感じている。
その退職する労働者に対し、雇用保険の手続きや給付がどの程度受けられるか、健康保険や年金の手続きはどのようにすれば良いかを私たち社労士がアドバイスしてあげると、それらの不安が緩和され労働者側も納得し、退職後のトラブルを未然に防止できる。
また、訴訟やADR等の一般的なことも説明できた方が、労使双方にとってどのような手続きによって解決するのが最善なのかを検討することができる。そのためには、他士業との連携や訴訟法の勉強も私たち社労士には必要だと思う。
今後AI技術の進歩により社労士の業務は減少するといわれているが、依頼者に寄り添ったきめ細やかな温かみのあるサービスを私たち社労士が提供していくことが、これからの時代に対応し、多くの方からの信頼を得ていくために必要ではないか。
社会保険労務士法人 むらだて事務所 村舘 俊樹【青森】
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