ブル・ドーザーに轢かれ死亡 作業計画定めず送検 県による指名停止も 富山労基署
富山労働基準監督署はブル・ドーザーで作業をさせるに当たり、あらかじめ運行経路や作業方法を示した作業計画を策定していなかったとして、建設業者と同社の現場代理人を富山地検に書類送検した。作業計画を定めなかった結果、63歳の男性労働者1人がブル・ドーザーに轢かれ死亡する労働災害が起きている。
労働災害は平成29年10月11日の午後12時ごろ、富山県が発注する「ほ場整備長沢地区第3工区ほ場整備工事」現場で発生した。男性労働者は1人で表土のならし作業をしていた。斜面にブル・ドーザーを停車させ、斜面の下に移動したところ、逸走したブル・ドーザーに轢かれた。労働者は病院に搬送されたが、同日の夕方に死亡が確認された。1人で作業をしていたため、現認者はおらず、なぜブル・ドーザーを降りたかなどは分からないという。
労働安全衛生法はブル・ドーザーを用いて作業を行うときは、運行経路や作業方法を示した作業計画をあらかじめ策定しなければならないと定めているが、同社は策定を怠っていた。また、労働安全衛生規則では、事業者は車両系建設機械の転落や地山の崩壊などによって労働者に危険が及ばないよう、地形や地質の状況を調査し、記録しておかなければならないと定めている。斜面があることを調査し、その部分に停車しないよう作業計画に定めていれば、労働災害は防げた可能性がある。
労災発生を受け、富山県は県発注の工事の施工に当たり、安全管理が不適切だったとして、同社を指名停止措置とした。期間は7月19日から1カ月間となっている。
【平成30年7月11日送検】