時代の流れ読み解く/ブルーローズ社会保険労務士事務所 鈴木 達也
私は社労士登録をして12年、開業して6年目の社労士である。
開業前は20年以上、会社員として一貫して管理部門の仕事を行ってきたが、採用、労務管理などには社会人1年目から業務としてかかわってきた。振り返ってみると、時代の流れが大きく変わり、意識変革を求められることも度々あった。
私が大学を卒業して社会に出た頃はインターネットが本格的に普及する前で、ワープロや表計算ソフトを使用して業務の合理化を図ることが求められていた時代である。男女雇用機会均等法が施行され、求人市場では第二新卒という言葉はあったものの中途採用の市場も現在ほど大きくはなく、終身雇用の意識がとても高かった。
バブル経済崩壊後は、日本経済が「失われた20年」といわれ成長が鈍化する中で、幸いにも株式公開業務と上場会社の情報開示業務を行う機会に恵まれた。
社労士を開業した後は、外国人技能実習制度に関する事業を厚労省から受託した機構において、相談員として業務に携わった。技能実習が労働基準法・労働安全衛生法に基づいて適切に運営され、著しい人権侵害がないかなどをチェックする巡回指導を行った。技能実習法に基づく新制度施行のタイミングで製造業・建設業を中心に指導した経験を活かし、監理団体の外部監査業務にもかかわっている。
そして今、国会で働き方改革関連法が可決成立し、2019年4月から順次施行されることになった。仕事や賃金のあり方に大きな影響を与えるものと思料される。
技能実習法では、技能実習生に「日本人と同等以上の待遇」を求めており、働き方改革における非正規雇用労働者の処遇改善としての「同一労働同一賃金」に先行した形だった。長時間労働の是正においては、事務職におけるパソコン普及率が高い現在、RPA等のデジタルツールの活用はぜひ行いたいところである。IT企業での勤務経験を活かし、有用な情報提供もしていきたい。
最後になるが、日本では平均余命が伸び続けている。老後生活設計の中では、長生きリスクを説明に用いることも多い。英国のリンダ・グラットン教授が「LIFE SHIFT」の中で提言した「人生100年時代」への対応は、年金問題と相まって働き方にもインパクトが生じるだろう。今後も時代の流れを読み解きながら、社労士として注視していきたいと思う。
ブルーローズ社会保険労務士事務所 鈴木 達也【愛知】
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