金型に挟まれ左手切断 安全装置を意図的に切って作業 ペットボトル製造会社を送検 奈良労基署
2018.08.21
【送検記事】
奈良労働基準監督署は55歳の男性労働者が金型に挟まれ左手首から先を切断した労働災害で、きた産業㈱(大阪府大阪市)と同社の奈良工場の元工場長を労働安全衛生法第20条(事業者の講ずべき措置等)違反の疑いで奈良地検に書類送検した。
労働災害は平成30年3月12日に同社の奈良工場で起きた。被災労働者はペットボトル成形機(射出成形機)の金型に付着した異物を取り除こうとして左手を差し入れたところ、金型に挟まれ左手首から先を切断する重傷を負った。
成形機には扉を開くと機械が全停止する安全扉が設けられていたが、機械が全停止すると再度起動までに時間がかかるほか、成形中の樹脂が廃棄になるため、意図的に無効にしていた。異物を取り除く際は機械を個別に止めるスイッチを押し、金型の部分だけを止めていたが、被災労働者は誤って隣のスイッチを押し、押し間違えに気づかずに左手を入れた。金型は一定の間隔を置いて動いていたため、止まっているように見えたという。
労働安全衛生法は射出成形機に労働者が挟まれる危険のある時は、安全扉などの安全装置を設けなければならないと定めている。また、設置した安全装置は有効な状態で使用されるよう点検・整備をしなければならないとしている。
【平成30年7月23日送検】