「転んだことにしろ」と17歳の労働者に指示 労災かくしで土木事業者を送検 出雲労基署

2018.09.11 【送検記事】
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 島根・出雲労働基準監督署は労働者死傷病報告を遅滞なく提出しなかったとして、土木事業者と同社の代表取締役を労働安全衛生法第100条(報告等)違反の疑いで松江地検出雲支部に書類送検した。

 労働災害は平成29年8月7日、同社が立木の伐採、搬出作業を請け負う同県大田市内の工事現場で起きた。同社の労働者が車両系建設機械を運転し、丸太を持ち上げたところ、持ち上げた丸太が別の丸太に引っかかり、跳ねるように飛んでいった。丸太は近くにいた別の労働者の右胸に当たり、労働者は1メートルほど飛ばされた。

 被災したのはチェーンソーを使い、木の枝を切る作業をしていた17歳の男性労働者だった。男性労働者は右肩右胸部圧挫傷のケガを負い、4日以上休業した。入社2カ月の新人だったという。

 労働安全衛生法は事業者に対し、休業4日以上の労働災害が発生した場合、遅滞なく労働者死傷病報告を所轄の労基署に提出することを義務付けている。しかし、同社の代表取締役は「丸太の上を歩いていて転んだことにしろ」と被災労働者に指示し、労災を隠蔽した。

 今年3月に関係者からの情報提供があり、同労基署が捜査を進めたところ違反が発覚した。同労基署の調べに対し、代表取締役は「労災の報告をすると労基署の調査が入り、工事が中止になるかもしれないと思った。元請け、発注者に迷惑をかけたくなかった」と供述、容疑を認めているという。

【平成30年8月28日送検】

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