労災かくしなどで大型送検 ソーラーパネル設置工事現場で2カ月入院の事故 小樽労基署
3次下請が実質的に「自首」して発覚
北海道・小樽労働基準監督署は、平成29年9月に小樽市内のソーラーパネル設置工事現場において発生した労働災害に関して、建設業の2社5人を労働安全衛生法違反の疑いで札幌地検小樽支部に書類送検した。
送検対象者のうち、1次下請A社の代表取締役、3次下請業者と同社実質的な代表者、4次下請業者の代表者の計1法人3人は、労働者死傷病報告を遅滞なく提出しなかったとして、安衛法第100条(報告等)違反の容疑で処分されている。4次下請業者の労働者が高所作業車を運転していた際、車両ごと転倒して2カ月入院する労災に関して報告を怠っていた。
労災の隠蔽は1次下請の代表取締役が首謀した。労災発生後、元請企業とともに2次下請の企業に対して「どうにかするように」と対応を丸投げしていた。その後、2次下請が倒産。後を受けた3次下請業者が民間保険で休業補償をしようとするも失敗し、労基署に実質的な自首をしていた。
元請は虚偽陳述と療養補償実施義務違反
元請業者と同社代表取締役および現場代理人は、労働安全衛生法第91条(労働基準監督官の権限)および労働基準法第75条(療養補償)、第87条(請負事業に関する例外)違反の容疑で送検されている。
送検事案に発展した労災発生日から約2週間後に発生した、別の工事現場内の事故に関する災害調査を同労基署から受けるなかで、4次下請業者の労働者が被災する労災がなかったとする虚偽陳述を行っていた。さらに、3次下請業者が「被災した労働者に補償を支払ってほしい」とする強い訴えをしていたにもかかわらずこれを拒否していた。
労基法では第75条で「労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかった場合においては、使用者は、その費用で必要な療養を行い、又は必要な療養の費用を負担しなければならない」と定め、第87条で「数次の請負によって行われる場合においては、災害補償については、その元請負人を使用者とみなす」と規定している。
【平成30年8月10日送検】