【安全衛生・お薦めの一冊】『胆管がん問題!それから会社は…』
2018.09.25
【書評】
当事者が語る貴重な経験談
2012年に印刷会社SANYO-CYPで働いていた従業員に相次いで発症した胆管がん。調査によって洗浄剤に含まれていた未規制の化学物質が原因と分かり、その後の安全衛生法令の改正と化学物質の管理強化へとつながっていった。
本書は、胆管がんの発生原因を解説するとともに、問題発生後に経営を引き継いだ山村健司社長への取材を通じて、会社が取り組んできた再発防止の対策を紹介している。大阪労働衛生総合センターの支援を受けながら、作業環境を整備。従業員とも正面から向き合い、作業主任者など各種資格の取得を進め、ヒヤリハット報告や5S活動など自主的な安全活動が展開されるまでになった様子が綴られている。
問題発覚から6年、過ちを決して繰り返すまいと、同社ではいまも弛まない活動が続いている。労働災害を経験した会社の、貴重な生の声として受け止めたい。
(中央労働災害防止協会編、TEL:03-3452-6401、A5判、52ページ、500円+税)
平成30年10月1日第2315号 掲載