労働契約承継に関与を/社会保険労務士法人 ネクストi.D. 代表社員 鬼頭 統治
私は、1988年8月に全国社会保険労務士会連合会の登録を受けた。当初から、社会保険労務士会の研修に積極的に参加し、知識の涵養に努めてきた。その頃、連合会が1985年1月に発行した「改訂社会保険労務士業務の理論と実務」という赤本を座右の書として、何度も読んだ。
愛知県社会保険労務士会は5年、10年毎に「愛知県社会保険労務士会○年のあゆみ」という記念誌を発行していた。当時、ご縁があって、制度創設30年に当たる1999年3月1日発行の記念誌に寄稿させていただいた。タイトルは「21世紀の社会保険労務士像」で、以下に一部を紹介する。
「社会の変化に対応して、社会保険労務士を取り巻く環境の変化が起きている。今、『社会保険労務士とはなにか』と問い直し、これからの社会保険労務士の在り方について考えてみる必要があると思う。業務の内容をどのように方向付けていくのが社会保険労務士事務所の生き残りの方法なのであろうか。マルチメディア時代には、情報の電子化、ネットワーク化に対応したシステムの構築が求められる。今後はクライアントのニーズに即したコンサルティング市場を形成し、拡大していく可能性が大きいことが予想される。今後、オンライン化、ネットワーク化が進展していく『高度情報化社会』が必ず到来することが予想される。サービスを提供できる品性の高い『高機能事務所』へのシフトが必要である。知的雰囲気の漂う、やりがいのある、社会的地位の高い事務所が近未来の理想の事務所像である。多様化したニーズに対応したサービスを提供できるかどうかにかかっている。そうすることが社会保険労務士の社会的貢献であり、社会的使命を果たすことになるのである」。
そして現在、社労士にかかわる労働法制が大きく変わろうとしている。それは「働き方改革関連法」である。
全企業の95%は中小企業であり、10年で7割が廃業する恐れがある。しかし、企業には従業員がおり、その家族がいる。企業を倒産させてはならないのである。
以前から大企業でも統廃合が行われ、生き残りを図っている。会社分割・事業譲渡・合併が行われた場合、そこで働いている労働者の労働契約がどのようになるのか。労働契約承継法と同施行規則が2000年に成立しており、2016年には厚生労働省告示が出されている。これらに社労士が大きくかかわっていくことが、社労士法第1条の趣旨に適うのではないかと考えている。
社会保険労務士法人 ネクストi.D. 代表社員 鬼頭 統治【愛知】
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