欠かせぬ労使双方への愛/社会保険労務士法人はなだ事務所 花田 周作
社会保険労務士として登録して、早くも15年の年月が経過した。
その間、毎日のように、「社労士とは何か」という自問自答を続けてきた。恐らく今後も社労士を続けていく限り、この自問自答は毎日の晩酌の際のテーマとなり続けるであろう。
労務管理の専門家として、様ざまな業種・規模の企業様とお付き合いをさせていただいているが、本当に呆れるほど、多種多様な業務が日常的に発生する。
例を挙げればきりがないが、給与計算のように、緻密でかつ納期限がタイトであるものや、助成金申請のように、成功すれば非常に喜んでもらえる反面、失敗すると大きなリスクとなるものがある。解雇や未払い残業代請求に代表される労働問題などもあり、質は違えど、どれも非常に神経をすり減らす業務ばかりで、そのせいか最近は髪の毛がどんどん薄くなってきている。
勤務社労士だった頃にお世話になった恩師がいっていた。「花田君、社労士たるもの頭の一つも禿げてこそ一人前だよ」と。まさに金言である。師匠もその金言を自ら体現している、見事な「お点前」だった。
そんな社労士の業務であるが、昨今のAI(人工知能)の台頭によって、大きな転機を迎えていると肌で感じている。
「30年後になくなっている職業ランキング」のどれをみても、もれなく上位にランクインしている始末だ。
しかし、本当にAIにこの「禿げてなんぼ」の仕事が代替できるのだろうか。
従業員に関することで、経営者は常に深く悩む。そして従業員もやはり、それぞれの置かれた状況に応じて悩む。経営者も従業員も同じ人間、そして人間は感情に支配される生き物だ。
我われ社労士は、ときにはそのどろどろとした感情の、双方からのはけ口となり、緩衝材となりながら、経営者と従業員が同じ方向を向いて高い業績を上げ、生き残っていくための具体的な施策を企画し、それを提案し続けるサポーターとして機能すべきではないだろうか。
そしてその役割を果たすには、社労士が忘れてはいけないものがあると思う。
それは顧問先企業の経営者と従業員双方に対するAI(愛)である。
機械には持てない、極めて人間臭いAI(愛)こそが、社労士の真骨頂であり、それがある限り、30年後も消えることはないと私は信じたい。
社会保険労務士法人はなだ事務所 花田 周作【福岡】
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